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米アーリントン 看護師が恐れる理由

2021年11月17日

 米東海岸のバージニア州アーリントンに住むペルー出身のベルサさんは、フリーの看護師。看護師としての資格を持っているが、特定の病院に雇用されているわけではない。病院側の派遣要請を受け付ける団体に登録しておいて、期間や賃金などの条件と自身の都合が合えば、あちこちの病院に飛んでいく。

 新型コロナウイルスの感染拡大であちこちの病院から引っ張りだこ。西海岸カリフォルニア州に数週間飛んでいったこともあれば、来週はやや近場のニュージャージー州の病院で2日だけ働くという。

 しかし、「テキサス州の病院には、二度と行かない」と顔をしかめた。共和党支持層の多い米南部は、民主党出身のバイデン大統領が求めるワクチン接種やマスク着用に反発する人が多い。同州のアボット知事(共和党)も強硬な反対論者だ。

 ベルサさんが病院できちんとマスクをしていない人に注意すると、猛然と反発されたりして「身の危険を感じた」という。

 「マスクをしない権利」と言えばもっともらしく聞こえるが、ならば看護師の「近づかない権利」も認めなければならないだろう。 (吉田通夫)