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ソウル 東北被災地での記憶

2022年04月26日

 毎年、この季節になると、東北を思い出す-。2011年3月11日の東日本大震災の発生後に被災地に入った救助やボランティア関係者からたびたび聞いてきたその言葉を、韓国の警察官が話す姿は意外に見えた。

 ソウル警察庁で日本の警察との連携や調整などを担う南日(ナムイル)さん(50)。20代で日本に留学して日本語が堪能なことから、震災後に約1カ月間、仙台市にある韓国総領事館に派遣され、在日韓国人らの保護に当たった。

 仙台はまだ、ガスや水道などが完全復旧しておらず、食料や物資も不足していた。総領事館では、韓国軍兵士が携帯する保存食で空腹をしのぎ、会議室に簡易ベッドを置いて寝た。

 当時、地方の警備隊で若手30人を指導する立場にあり、体力にも精神力にも自信があった。だが、津波で家々が流失して灰色になった土地を歩き、行方不明者の捜索に立ち会うのは、たやすい仕事ではなかった。

 普段は写真をよく撮る方だが、東北では撮る余裕がなかった。「それでも、経験と記憶を語り継ぎたい。韓国は地震こそ少ないが、台風や洪水などは常に起こり得るから」。言葉に実感がこもっていた。 (相坂穣)

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