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スペイン・ベナハビス ご飯の町で「バカ、アホ」

2022年10月24日

 この夏、熱波の影響で大規模な山火事が起きたスペイン南部アンダルシア地方の町ベナハビスを訪れた。山あいの小さな町だが、大小のレストランが所狭しとひしめき合っている。「この町はご飯を食べに来る町なんですよ」。近郊のマラガに約30年住む通訳のチヅコさんが教えてくれた。

 先月の山火事では全町民が避難を余儀なくされ、各レストランもテーブルを運び出すなど大変だったという。役場の人や住民に当時の状況を聞いて回り、「年々雨が降らなくなっている」「気候変動は間違いなく起きている」という実感を聞いた。

 取材が一段落した後、スペイン時間に合わせて遅い昼食を取ることに。メニューがよく分からず迷っていると、チヅコさんが「何を頼むか困ったら、『バカ、アホ、カバ、ダメ』と言えば何とかなりますよ」。

 ぽかんとする私に、「スペイン語でバカは牛、アホはニンニク、カバはスパークリングワイン、ダメはちょうだい。これだけ覚えとけばサバイバルできます」。取材の緊張が解けて、どっと笑った。スペインの太陽にも負けないチヅコさんの明るさに、感謝した。 (加藤美喜)