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上海 都市封鎖もガッポリ

2022年10月24日

 「ロックダウン中、大変だったんじゃないですか」。上海で乗ったタクシーの若い男性運転手に声をかけると、意外な答えが返ってきた。「2カ月で150万円。だいぶもうかったよ」

 上海ではロックダウン(都市封鎖)の際、部屋から一歩も出られない人々がメッセージアプリのグループチャットで連絡を取り合い、食材を共同購入していた。品質の悪い食品を高い値段で売る悪徳商法もあったが、運転手の王さんは品質の良い豚肉を2割ほど安い価格で売り出し、好評を得たという。

 それができたのも、豚肉卸売業者と、ロックダウン中でも団地の出入りを特別に許可されていたトラック運転手に友人がいたから。「スマホの電話帳に5700人の友達がいる。どんなビジネスだってできる」と早口で話す。豚肉の注文は封鎖解除後も増えているそうだ。

 安徽省出身。上海の大学で会計を学び、卒業後はIT企業に勤めた。今は独立して教育関連の補助金ビジネスを手掛け、夜はタクシーを運転する忙しさ。出張で北京から来たと伝えると、降り際に名刺をくれた。「北京でも事業をやりたい。ぜひ、一緒にやろう」 (白山泉)