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ワシントン アイ・フィール・コーク

2023年01月28日

 先日、米国人の同僚とコーラの話になった。日本に留学していた1990年ごろに「日本コカ・コーラの『アイ・フィール・コーク』という宣伝文句を見ておかしいと思った」と言う。「コーク」はコカ・コーラの略称。コーラの液体に触れているイメージを思い浮かべるそうだ。

 もちろん米国では使われなかった宣伝文句で、米国の古いネット掲示板ではちょっとした話題になっていた。「ベタベタになっちゃう」「漏れてるんじゃないか」−。

 この時期、米国での宣伝文句は「オールウェイズ・ザ・リアル・シング(いつも本物)」だった。類似製品への対抗意識は明確だ。米紙ニューヨーク・タイムズは94年に「コカ・コーラが世界で自分たちを『本物』と言っていたころ、日本では『アイ・フィール・コーク』だった」と書いている。「日本企業の広告は他社との違いを際立たせず漠然としていて、少しおかしくても英語を使いたがる」

 そうかもねと思いつつ、ハリス副大統領の母校ハワード大学を訪れた際に、日本語で「東京だち」とプリントされたパーカが売られていたのを思い出した。 (吉田通夫)