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ワシントン 一歩間違えば差別に

2022年11月18日

 日本の知人から「米国の化粧品事情って、どうなっているの」と聞かれ、ふと気がついた。日本では頻繁に見ていた化粧品のテレビCMだが、米国ではほとんど目にすることがない。

 米国暮らしが長い日本人女性から「米国は多民族国家だから」というシンプルな答えを聞いて、合点がいった。どの人種にどんな化粧品が合うのか、何が美しいのかといった基準はさまざま。テレビなど幅広く伝えるメディアで画一的なCMは流せないのだろう。インスタグラムなど交流サイト(SNS)で情報を集めている人が多い。

 また、日本でよく耳にする「美白」は、米国では白人至上主義を連想させる表現だという。そのためか、米国では「シミを薄める効果がある」といった具体的な表現が使われている。また、ファンデーションの色が日本よりも豊富で、白人向けから黄色人種、黒人向けまで幅広くそろう。かつては黒人向けの色が少なく、問題視する意見があったという。

 日本では何げなく眺めていた化粧品やそのCMだが、多民族国家では、一歩間違えれば人種差別につながるのだな、と思い知った。 (吉田通夫)