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ロンドン 兵役問題で議論白熱

2023年03月28日

 知人の韓国人外交官から「ナショナルデー」の招待状を頂いた。韓国の国家の日は10月3日の開天節だが、レセプションは梨泰院(イテウォン)の事故で延期され、先月下旬に催された。ロンドン中心部のホテルの会場には数100人がいただろうか。2030年の釜山(プサン)万博の誘致PRが目立ったが、退役軍人のスピーチで、多くの英国人が国連軍の一員として朝鮮戦争で命を落としたことも再認識した。

 私は英国でも人気が高いKポップグループ「BTS(防弾少年団)」の兵役問題に関心があり、複数の出席者とその話になった。私は彼らは韓国の経済とイメージ向上に多大な貢献をしており、活動を続けさせる方が国益にかなうのではと言ったが、同年代の息子がいる韓国女性は「誰であろうと平等に兵役に行くべきだ」と話し、「例外は許されない」と主張した。他の人も同調し、経済効果や国益よりも、極めて感情的な問題なのだと実感した。

 会場には北朝鮮出身の英国人もおり、日本と南北朝鮮の出身者が地球の反対側で率直に杯を交わしていることが感慨深かった。外交の街としてのロンドンに、改めて魅力を感じた夜だった。 (加藤美喜)