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エジプト・シャルムエルシェイク 脅かされる親日の島

2023年03月27日

 オーストラリア北部、トレス海峡にあるマシグ島。人口約270人の島に住むモスビー君(12)は先月、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に参加するため、エジプト東部シャルムエルシェイクにやってきた。父と伯母と一緒に、取材に応じてくれた。

 マシグ島は近年、温暖化の影響に直面している。海面が上昇し、海岸線の浸食が深刻化。海水温の上昇でサンゴは死に、周りに集まる魚も減った。魚を食べる鳥が減り、鳥を見て天気を予測する島民の伝統的な生活にも影響を及ぼしているという。

 伯母のティシコさんが興味深い話を披露した。マシグ島と同じトレス海峡のフライデー島には、かつて日本人が住み、真珠の養殖を行っていたという。「だから、この海峡に住む人たちは日本に親近感を持っているの」とティシコさん。現地には日本人の墓地もあるという。

 取材の最後、モスビー君は「島の将来がすごく不安」と漏らした。温暖化の原因は、二酸化炭素などの温室効果ガスにある。日本などが過去に排出してきた温室効果ガスが今、南の海にある小さな親日の島の未来を脅かしている。 (蜘手美鶴)