2023年05月05日

　ロンドンに来て１年半、永住組の７０～８０代の日本の先輩方と仲良くなり、何人かとは毎月食事会をするようになった。

　その一人、Ｙ子さんは大学の職員。ワイン好きの酒豪だが、「私は９時のシンデレラ。ネギオが待っているから」と毎回早めに帰る。夫の「ネギオ」さんはウェールズ出身の元外交官。昔同国の兵は戦場で敵味方を区別するため兜（かぶと）にネギを差したといい、今も国の象徴なので、あだ名にしているという。

　シンデレラは昨年、会合の帰りに転んであごの下を４針縫うけがをした。もう来られないかと心配したが、ネギオさんの理解もあり、また毎回参加されるようになった。同じ食事会仲間では写真家Ｓさんも一昨年、駅のエスカレーターから転落し、救急車で運ばれた。幸運なことにすぐ回復して、英国人の奥さまと仲良く参加されている。

　二人ともケロッとした顔でけがを笑い飛ばし、「三人目は誰かな」といつも周囲をからかっている。そのおおらかさとタフさに感心しつつ、寛容なパートナーがいて、うらやましくも思う。私も彼らの年になっても笑って楽しく仲間と飲めたらいいなと願っている。　（加藤美喜）