2023年05月06日
韓国語で「ホンジャ」は一人という意味で一人酒は「ホンスル」。ひと昔前までは韓国人は大人数での会食を好み、一人で飲食店にいる客を寂しい人間だと同情する雰囲気があったが、昨今は変わってきた。
一次会に行く前、終電10分前、一人酒したい日…ここへ! 昨年5月に新大統領府が移転してきたソウル市竜山区の路地で、そんな看板を見つけた。2021年に開店した立ち飲みの居酒屋「きぼう」。九州北部の肉体労働者らが仕事帰りに、酒屋の店先で缶ビールやカップ酒を飲んだ「カクウチ」のスタイルを再現しているという。
中年の記者が帰宅前に一杯引っかけるのに良さそうだ、と寄ってみたが、想像と違った。客の大半を20~30代の若者が占める。ビールやレモンサワー、ポテトサラダや鶏唐揚げなどのおつまみも各8000ウォン(840円)前後とやや値が張る。
若い男性客は「日本の居酒屋で、隣り合わせた客同士が仲良くなる姿を見たことがある。そんな飲み文化にあこがれる」と熱く語った。ソウル一極集中や新型コロナウイルス禍で、つながりを求める若者が増えているのかもしれない。 (相坂穣)