2023年05月26日
米南部テキサス州ヒューストンと言えば、米航空宇宙局(NASA)の一大拠点ジョンソン宇宙センターがあることで有名だ。先日、出張の移動ついでに隣の博物館に立ち寄ってみた。
あいにく到着時は営業時間の終わりがけで館内には入らなかったが、屋外に展示されたレプリカのスペースシャトルを見て、あることを思い出した。2003年、宇宙からの帰還中に空中分解し、7人の飛行士が死亡したコロンビア号の事故だ。今年で発生から20年となった。
近くでシャトルを眺めていた宇宙ファンの女性(59)に話を振ると「事故の教訓を生かし、各国が協力して宇宙の未来を切り開いてほしい」と答えてくれた。だが現在、宇宙開発を先導してきた米ロは激しく対立し、ロシアが侵攻したウクライナでは各地で火の手が上がっている。
「地球の景色は本当に美しい。僕が宇宙に生まれたのなら、まず地球を訪ねたい」。コロンビア号とともに散った飛行士デビッド・ブラウンさん=当時(46)=は事故直前、こんな言葉を残していたという。今、星空からこの地上を見下ろし、同じことを思ってくれるだろうか。 (杉藤貴浩)