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門司港駅

門司港駅 北九州市 海峡の街でレトロ散策

ライトアップされた門司港駅。駅舎は国の重文に指定されている

ライトアップされた門司港駅。駅舎は国の重文に指定されている

 山口県下関市と北九州市門司区を隔てる関門海峡には、橋やトンネルがあるものの、今も連絡船が運航されている。夜に下関・唐戸から門司港へと乗ってみた。左手に関門橋の灯を見ながら、約5分間のクルージング。門司港に着いて、横断歩道を一つ渡ると、ライトアップされた門司港駅が見えてきた。

 美しい。木造2階建て、外壁は石張り風にモルタルを塗っている。1914年の創建とは思えない、モダンな設計だ。当時の九州の玄関口としてふさわしい駅を建てようという熱意が伝わってくる。駅舎は88年、鉄道駅として初めて国の重要文化財(重文)に指定された。

 見とれていると、地元の男性が話し掛けてきた。「駅の正面には門司港駅の看板がない。なぜでしょう」。駅名表示を探したが、見つからない。「ほらっ、門の字が見えるでしょ」。なるほど。いいなぞなぞだ。

 駅舎は戦争中、米軍機の機銃掃射を受けたが、生き残った。近年、傷みがひどく改修工事が行われ、昨年3月、完成。外側も内側も創建時の秀麗な姿がよみがえった。工事中に41発の弾痕が確認されたという。

門司港駅の2階にある旧貴賓室。今はレストランの宴会場として使われている

門司港駅の2階にある旧貴賓室。今はレストランの宴会場として使われている

 翌日の昼間、同駅に行くと、豪華寝台列車の「ななつ星in九州」が入ってきたところだった。乗客が降り、駅舎に歓声を上げていた。鉄道ファンにはたまらないようだ。

 駅構内を歩いてみた。2階にレストラン「みかど食堂 by NARISAWA」がある。店名は駅開業から81年まで営業していた「みかど食堂」にちなむ。旧貴賓室が宴会場になっていて、客がいなかったので中をのぞくことができた。赤じゅうたん、大きなテーブル、窓、カーテンや壁紙は、可能な限り往時を再現したという。

 この駅はかつては「門司駅」を名乗っていた。本州側から連絡船で来た後、九州の地を踏むと、ここで鉄道に乗り換えた。あるいは、ここまで鉄道で来て連絡船で渡っていった。乗り換えの政府首脳や皇室関係者などには、休憩用の貴賓室が必要だったのだろう。

 駅構内の通路には、戦前の水飲み場が残されていた。目の前の門司港は戦前、朝鮮半島、中国への出入り口でもあった。ここで日本最後の水、最初の水を飲んだ人もいたのだろう。

 この駅は42年、山陽線の関門トンネルの開通により玄関口の地位を失い、「門司駅」の名を現在の門司駅に譲り、「門司港駅」となった。近年、駅周辺の大正、昭和初期に建てられたレトロ感あふれる建築群一帯が「門司港レトロ」と名付けられ、観光客に人気だ。旧門司三井倶楽部(くらぶ)(国の重文)、旧大阪商船(国の登録有形文化財)などの歴史的建造物群は、同駅から歩いて数分の距離。散策しながら一見の価値ありだ。

門司港駅のそぐそばにある九州鉄道記念館。かつて九州を走った蒸気機関車、電気機関車などが並ぶ=いずれも北九州市門司区で

門司港駅のそぐそばにある九州鉄道記念館。かつて九州を走った蒸気機関車、電気機関車などが並ぶ=いずれも北九州市門司区で

 隣の九州鉄道記念館にも足を延ばした。1891年建築の赤れんがの本館は、九州初の鉄道会社「九州鉄道」の本社だった。九州の鉄道史を伝えるため、2003年にオープンした。9600形蒸気機関車、C59形蒸気機関車、EF10形電気機関車などを展示している。

 館内をひと巡りした後、佐藤秀一郎企画・広報課長が、とっておきを教えてくれた。

 同館の前から北九州銀行レトロラインという2.1キロのミニ鉄道が延びており、週末を中心に「潮風号」という観光列車が運転されている。

 終点の関門海峡めかり駅まで行くと、人が歩く海底トンネル「関門トンネル人道」(約780メートル)の入り口が近いので、歩いて下関側に渡り、連絡船で戻ればよい-。

 その日は潮風号の運転はなかった。残念。再訪を思い、レトロな地区を後にした。

 文・写真 草間俊介

(2020年3月6日 夕刊)

メモ

◆交通
門司港駅へは新幹線・小倉駅で在来線に乗り換える。
あるいは、下関・唐戸から関門連絡船で門司港へ。

◆問い合わせ
門司港レトロ総合インフォメーション=電093(321)4151。
門司港駅に観光案内所がある(午前9時~午後6時)。
九州鉄道記念館=電093(322)1006

おすすめ

歩道の跳ね橋

歩道の跳ね橋

★門司港駅ライトアップ
日没~午前0時ごろまで毎日実施。
電093(321)8843。
「みかど食堂 by NARISAWA」はランチ、ティータイムは毎日、ディナーは土日祝日のみの営業。
メニューなどはホームページで。
旧貴賓室は2~12人で利用でき、1週間前までに相談を。
電093(321)8321

★ブルーウィングもじ
門司港駅から海沿いに徒歩5分のところにある歩道の跳ね橋、奥に見えるのは関門橋。
歩行者専用の跳ね橋では日本最大級の全長108メートル。
午前10時から午後4時まで1時間ごとに(正午は除く)、約20分間水面に対し60度の角度で跳ね上がる。

★潮風号
今年は25日~11月29日の土日祝日に運転。
春休み、大型連休、夏休み期間は毎日運転。
九州鉄道記念館-関門海峡めかり駅は片道300円、小児150円。
時刻表などは北九州銀行レトロラインのホームページで。

★関門トンネル人道
歩行者無料、通行可能時間は午前6時~午後10時。
下関側に出たら、近くに下関駅行きのバス停がある。

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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