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【静岡】「動かない鳥」と出合う 掛川花鳥園 掛川城 静岡県掛川市

ジャンル・エリア : テーマパーク | 動物 | | 生き物 | 静岡  2020年10月29日

大好きな副島さんに近づいてくるハシビロコウのふたば

大好きな副島さんに近づいてくるハシビロコウのふたば

 以前から、一度見たいと思っていた。“動かない鳥”ハシビロコウだ。その思いが強くなったのは、今春の新型コロナウイルス感染の第一波のときだ。休日に家でじっとしている我慢の生活を強いられ、思い出した。あの鳥はよく耐えられるなと。秋を迎え、静岡県掛川市にある花と鳥のテーマパーク「掛川花鳥園」に行くことにした。

 あいにくの雨だったが、幸い園内の多くは屋内施設。100種、900羽の鳥がいてにぎやかだ。スタッフの北條龍哉さん(40)によると、一羽いるハシビロコウはメスで、名前はふたば。イケメンの男性スタッフ二人のことが好きで、女性スタッフらより、くちばしを打ち鳴らすクラッタリングやおじぎをして親愛の情を示す回数が多いという。

 慕われる副島慎介さん(31)と戯れるところを見せてもらうことにした。副島さんが柵の中に入っていくと、ふたばはクラッタリングをしながら近づいてきて、何度もおじぎをした。副島さんもおじぎを返し、両者とも楽しそうだ。気が付けば、十数人の来園者が集まって写真を撮ったり、「かわいい」と言い合ったりしている。さすがは園の人気者だ。「動かないと思ってくる人が多いので、珍しく動いたところが見られたと皆、喜んでくれる」と北條さん。「でも実はふたばは、普段から結構動くんです。たまに飛びます」。上空を旋回するらしい。

 ふたば以外にも、思いがけず楽しめる要素があった。掛川花鳥園ではほとんどの鳥が放し飼いで、来園者が容易に触れ合える。ベンチで休憩していると、ハトをずんぐりさせたようなイワシャコという鳥が、人懐っこく靴をつついてきた。別の部屋では、コガネメキシコインコなどが飛び交い、餌を手にした人の肩や腕に止まって、餌をついばんでいる。オニオオハシのショーやケープペンギンの写真撮影などもあり、家族連れやカップルが楽しんでいた。

コガネメキシコインコたちとの触れ合いを楽しむ来園者ら=いずれも静岡県掛川市の掛川花鳥園で

コガネメキシコインコたちとの触れ合いを楽しむ来園者ら=いずれも静岡県掛川市の掛川花鳥園で

 夕方前、掛川城に寄った。この城に初めて天守閣を造ったのは、16世紀末の山内一豊。地震で何度か倒壊しており、現在の天守閣は1994年に再建されたものだ。最上階の4階からは市内が見渡せ、気持ちがいい。隣には、江戸時代末期に再建された御殿が立つ。950平方メートルと広く、入ると、どこまでも畳敷きの部屋が続いていた。人生でこれほどの数の畳を見たのは初めて。圧倒された。

 鳥に癒やされ、歴史の薫りに触れた一日。コロナ禍で息苦しい生活が続く中、少し安らいだ気持ちになった。 (金森篤史)

 ▼ガイド 掛川花鳥園は新型コロナ対策で営業時間を短縮しており、土日祝日も含め、午前9時~午後4時半。年中無休。中学生以上1300円、小学生600円。(電)0537(62)6363。掛川城も、同じ理由で午前10時~午後4時。年中無休。410円(御殿にも入場可)。(電)0537(22)1146

(中日新聞夕刊 2020年10月29日掲載)