ジャンル・エリア ： イベント | グルメ | 城 | 展示 | 甲信越　 2023年02月09日

国宝松本城氷彫フェスティバルのチャンピオンシップの制作風景

　「また松本か」とお小言もいただきそうですが、昨年春この欄の担当となった時からこの催しはぜひともご紹介をしたい、と思っていました。今年で３６回となる「国宝松本城氷彫（ひょうちょう）フェスティバル」です。氷を削って芸術作品を作り、まちのあちこちで展示する全国でも珍しい催しで、例年１月末に開かれます。

　催しの中心は、全国各地で活躍する氷彫師たちが腕前を競う「チャンピオンシップ」です。今回は１組２人ずつの計１２組が参加しました。

　２８日（土曜）の夕方、競技が始まりました。会場は国宝松本城が見下ろす「松本城公園」の広場です。

　幅が１メートル、高さ２７センチ、奥行き５５センチの氷が各組に１５本、割り当てられます。１本が１３５キロもある重いもの。それを、各組は独自の構想に基づいて時に大胆に、時には細かく加工します。

　制作時間は翌朝５時までの約１２時間です。最低気温がマイナス７度の厳寒の中で、氷彫師はチェーンソーやノミなど用意の道具を使い分け、飛び散る氷片をものともせず制作に没頭します。

　見ているうちに、おなかがすいてきました。晩ごはんは温かいものにしましょうか。

「バーガー＆ガズリー　グリルビーズ」のハンバーガーとカレー（後方）

　公園から少し離れますが、松本駅の西南、渚（なぎさ）地区にあるハンバーガーのお店に向かいます。「バーガー＆ガズリー　グリルビーズ」です。

　松本のアイリッシュパブの人気店「オールドロック」で店長だった関山将太郎さんが昨秋に開いたお店です。私は女性に人気という「アボカドベーコンチーズバーガー」、妻は「自家製スパイスキーマカレー」にしました。

　ハンバーガーはアボカドや牛肉がみっちりで、はやりの言葉でいうなら「肉肉（にくにく）しい」もの。またカレーは刺激的な舌触りの後から、おいしさが口に広がります。店員さんはみんな気さくで「名古屋から来られたのなら、今の松本は寒すぎて大変でしょう！」と口々に気遣ってくれました。

　おいしく楽しくいただいた後は会場に戻り、寒さに震えながらも制作を見守ります。ホテルで少し休み、競技終了となる午前５時の前に、再び会場へ。すると出来上がったばかりの作品に色とりどりの光が当てられ、後方のお城と相まって、ちょっと不思議な光景となりました。

　この催しは、２０１７年で終了の予定でしたが、氷彫師たちの至芸を見た市民からの強い要望で、存続した経緯があります。来年はぜひ読者の皆さまも、お出かけをご検討ください。　（三品信）

国宝松本城氷彫フェスティバルの完成した作品展示＝いずれも長野県松本市で

▼ガイド　氷彫フェスティバルはチャンピオンシップや「街中展示」などがあり、観覧無料です。問い合わせは、松本市文化観光部観光プロモーション課内の実行委員会事務局（電）０２６３（３４）３０００。「バーガー＆ガズリー　グリルビーズ」は、松本市渚２の８の２９。アルピコ交通上高地線の渚駅から歩いて５分ほど。（電）０２６３（８７）９００２。「アボカドベーコンチーズバーガー」は１５５０円、「自家製スパイスキーマカレー」は１０００円でした。サイドメニューやビールも豊富です。

（中日新聞夕刊　2023年2月9日掲載）