ジャンル・エリア : 展示 | 石川 | 芸術 2023年11月15日
警告、悲しみ 多様な表現
ポスター作品などを展示する「TOPPANグラフィックエキシビション2023」が、金沢市小立野の金沢美術工芸大で開かれている。印刷会社「TOPPAN」(東京)が企画し、原爆をテーマに著名なクリエーターが制作したポスターやデジタル作品など計約50点を並べた。17日まで。 (西浦梓司)
平和や核兵器廃絶を国内外に訴えるポスター「ヒロシマ・アピールズ」のコーナーでは、歴代作品27点を紹介。目を引くのは、ディズニーのキャラクター、ミッキーマウスが目を手で覆った「X像の沈黙」。世界的に有名なアートディレクターの故・石岡瑛子さんが手掛け、核兵器がもたらす悲劇から目を背ける為政者らへの警告が読み取れる。
グラフィックデザイナーの松永真さんの「NO MORE HIROSHIMA!」は、戦争の悲しみや怒りを黒色で表現。より深みのある黒を出すため、同じ紙に7回印刷を繰り返したという。
クリエーターが実験的な印刷技術で制作した作品も展示。CG制作に取り組む夫婦のユニット「TELYUKA(テルユカ)」は、CGでデザインした女性の作品が印象的。女性の顔に肌の染みや産毛を加えることで、現実感を与えている。
デジタル関連の展示では、VR(仮想現実)空間上に美術館のように芸術作品を展示する技術や、アートの発信に特化した同社のVRプラットフォームも紹介している。
同大の卒業生で同社のシニアプロデューサーの岡田佳英さんは「一流のアーティストと最高級の印刷技術の共演をぜひ直接見てもらいたい」と話している。
開催時間は午前10時~午後5時(最終日は午後4時まで)。展示場所は同大4号館2階のアートコモンズA。入場無料。