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【静岡】人気ゾウ、シャンティが戻ってきた 骨格標本展示 日本平動物園

ジャンル・エリア : テーマパーク | 動物 | 展示 | 静岡  2023年12月25日

ダンボ(左)と仲の良かった在りし日のシャンティ

ダンボ(左)と仲の良かった在りし日のシャンティ

 シャンティ、お帰り―。静岡市駿河区の日本平動物園で、昨年5月に53歳で死んだメスのアジアゾウ「シャンティ」の全身骨格標本が展示されている。園によると、アジアゾウの全身骨格の展示は県内初。全国の動物園でゾウの飼育頭数は減少傾向で、竹下秀人園長は「実物のゾウの大きさや体の構造を間近で実感できる貴重な展示。人気者だった往時の彼女にも思いをはせてもらえたら」と話す。 (飯盛結衣)

 シャンティの骨格標本は体高2.6メートル、体長3.5メートル、重さ500キログラム。1969年の園開業直後からシンボル的存在だったシャンティを知ってほしいと専門家に依頼し、1年以上かけて骨格標本に仕上げた。

 シャンティを11年担当した飼育員の山本幸介さん(37)によると、アジアゾウの骨格の特徴は、目より鼻が高い位置にあり、肋骨(ろっこつ)が片側19本ずつと多い。足の骨はつま先立ちのような構造で、かかとは体重を支える厚い脂肪が覆う。長い鼻は筋肉で構成され、骨は1本もない。シャンティの標本は左右の舌骨が残っていて「珍しい」という。

 シャンティは日本平動物園が開業した年にインドで生まれ、1歳のときに親善大使として寄贈された。現在も飼育するダンボ(メス、57歳)とは50年以上姉妹のような関係。2頭が子ゾウだったころは静岡まつりでパレードをしたり、静岡浅間神社へ初詣に出かけたりしたこともあるという。

 山本さんは骨になって戻ってきたシャンティを見つめ「妹気質のおっとりとした性格だった」と振り返る。竹下園長は「生きているダンボとシャンティの標本を見比べてほしい」と話す。

全身骨格になって戻ってきたシャンティと11年間飼育を担当した山本幸介さん=静岡市駿河区の日本平動物園で

全身骨格になって戻ってきたシャンティと11年間飼育を担当した山本幸介さん=静岡市駿河区の日本平動物園で

 日本動物園水族館協会によると、アジアゾウとアフリカゾウの国内飼育数は2022年末時点で40園で103頭。12年末と比較して計8頭減っている。日本平動物園を含む県内の飼育頭数は22年末時点で3園8頭。

 現在は、動物福祉の意識の高まりから、新たに海外からゾウを迎える場合、より野生下に近い環境での飼育が条件になっている。市はこれまでタイやミャンマーと交渉してきたが、ゾウを迎えるには「群れでの飼育が基本」。ダンボに加え、オス1頭、メス3頭を迎える市の計画では、従来の施設の10倍となる4千平方メートル程度の飼育面積を新たに確保する必要がある。コロナ禍前の試算では、輸送や新しいゾウ舎整備で26億円超を見込み、現在まで議論は進んでいない。

 同園は、毎週月曜日と12月29日~1月1日が休み。