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【岐阜】「末広堂美濃アイス」が70周年、実は美濃市と同い年 創業時の10円で限定販売へ

ジャンル・エリア : グルメ | 岐阜 | 特産  2024年03月26日

70年間変わらず愛されるアイスもなか

70年間変わらず愛されるアイスもなか

 美濃市中心部の「うだつの上がる町並み」のアイスクリーム店「末広堂美濃アイス」(同市俵町)が4月1日、70周年を迎える。1954(昭和29)年の創業の日は、美濃町などが合併して美濃市が誕生した日。もなかに包まれた、口溶けの良いさっぱりとした味わいのアイスクリームは当時のまま、市とともに歩んできた。

 末広堂の原点は、店主の岡本弘司さん(70)の祖父浩さんが戦前、大阪市に構えた和菓子店。戦時中に地元の美濃町に疎開してきた浩さんは、町役場の職員になった。戦後間もないころ、貴重だったアイスクリームを美濃の人にも食べてもらえないかと考え「甘党の店 末廣堂」を創業。ぜんざいやあんみつなど和の甘味とともに、バニラ味のアイスもなかの販売を始めた。

 アイスは添加物を使わず牛乳や砂糖本来の自然な甘みが特長。「秘伝の調合」(弘司さん)の材料を、創業当時から使い続ける練り機でゆっくりと仕上げ、軟らかい口溶けを実現した。85年には2代目店主で弘司さんの父康弘さんが喫茶店「パルフェ末広堂」としてリニューアルし、新たにあずき味を開発。店は地域住民や武義高校の生徒らの御用達として愛された。

創業当時から変わらないアイスを提供する岡本弘司さん(右)とちずみさん=美濃市俵町の末広堂で

創業当時から変わらないアイスを提供する岡本弘司さん(右)とちずみさん=美濃市俵町の末広堂で

 転機は2012年。腰痛で康弘さんが入院し店は一時休業に。伝統が途絶えかけたが、当時岐阜市で会社員をしていた弘司さんが常連客や知人の「またあのアイスが食べたい」という声を受け一念発起。13年3月に再開した。

 商品をアイスだけに絞り店頭販売のほか、道の駅やスーパーなどへの卸売りを始めた。現在は東海3県で約50箇所で購入できるという。味は抹茶やユズに加え美濃市と協力して開発した柿味や桜味など種類を広げた。市のふるさと納税の返礼品にも登録されている。

 「『地元の人に感謝を忘れるな』と親から教わってきた」と話す弘司さんは、店と市と同じ70歳。兄の成生さん(72)と妻ちずみさん(65)とともに店を切り盛りする。弘司さんは「店が大変なとき、美濃の人がいっぱい買ってくれて、応援して助けてくれた。感謝の気持ちを持ち続けて、店の成長を美濃の人と歩みたい」と目を細めた。

 創業70周年を迎える4月1日は感謝祭として午前10時から、バニラアイスモナカを創業当時の10円で販売する。300個限定で1人3個まで。

 (華原士文)