魔女と悪魔の夜宴「ヴァルプルギスの夜」(1)
2014年10月10日
4月30日の夜、ハルツ山地(ドイツ中部)の最高峰ブロッケン山に魔女たちがやってくる。もちろん空を飛んでだ。そして、悪魔と宴に興じ、一番鶏の鳴き声とともに姿を消す。この夜を「ヴァルプルギスの夜」と言う。
本来は、冬の魔を払い、春を迎える古代の民間行事だったが、キリスト教が入ってくると、魔女と悪魔のみだらな夜宴にされてしまった。
☆昔のブロッケン山(1732年の絵) すでに魔女が飛んでいる
☆今のブロッケン山(1142m)
ハルツ地方には「ヴァルプルギスの夜」をめぐる伝説が昔から語られてきた。特にゲーテが戯曲『ファウスト』の中でこの夜のことを取り上げたことで、世界的に知られるようになった。今では、この夜は住民参加の楽しい祭りとして、45を越える市町村で行われるハルツの最大のイベントになっている。もちろん私も魔女になって参加する。
☆ヴァルプルギスの夜。プレトーリウス『ブロッケスベルクの仕業』(1669年)のとじこみ絵より
ところで、私の監修する「魔女の秘密展」が2015年3月7日(土)~5月10日(日)、大阪文化館・天保山で開催されます。
詳しくはホームページをご覧ください。(http://majo-himitsu.com)
((2)に続く)
- 西村佑子(にしむら・ゆうこ)
うお座。早稲田大学大学院修士課程修了。
青山学院大学や成蹊大学の講師を経て、現在はモアビートプロモーションの「ドイツセミナー」講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展(栃木県いしばし町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道ツアーの同行講師、
薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草にかかわってきた。
主な著書に『グリム童話の魔女たち』(洋泉社)『ドイツ魔女街道 を旅してみませんか?』(トラベルジャーナル)、
『魔女の薬草箱』『不思議な薬草箱』(いずれも山と溪谷社)、『ドイツメルヘン街道夢街道』(郁文堂)など。