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マニラ 断食とXマスの9月

2008年10月07日

 フィリピンでクリスマスが始まった。「世界一長い」と言われるだけあって、準備は9月早々に始まる。サンタクロースの人形がお目見えし、クリスマスソングも流れ始めた。

 今年は、8月上旬にクリスマスの到来を目の当たりにした。車が交差点に止まると子供たちがやってきて、太鼓をたたき歌を歌ってみせる。クリスマス前の風物詩という。

 「8月から、もう?」と隣席のフィリピン人に聞くと「普通は9月からだけどねえ」と笑う。急激なインフレや食物価格の高騰で、道端のクリスマス“商戦”が早まっているのかもしれない。

 9月は、イスラム教のラマダン(断食月)でもある。紛争の続く南部ミンダナオで、政府軍の攻撃に巻き込まれ子供が死亡した。「空爆で死亡」との報道に国軍は反論した。「ラマダン中は大規模な爆撃はしていない」。クリスマスとラマダンが交差する9月。違った信仰を持つ同じ国民が、悲しい戦闘を続けている。 (吉枝道生)