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北京 包み握らぬ美談とは

2010年10月09日

 北京の取材会場で渡された資料に現金入りの封筒が紛れ込んでいた。100元札が5枚。日本円で約6500円。慌てて返すと、先方はけげんな顔で「なぜ、受け取らないのですか?」。

 「紅包」と呼ばれる心付け。中国では、企業などが宣伝記事を書いてもらうため半ば慣例として記者に渡している。企業によっては、当然のように受け取る中国人記者と、決して受け取らない外国人記者の受付場所を分けている。

 腐敗がまん延するこの国で、監視の役目を負うべき記者の取材倫理は、高いとはいえない。取材先と一線を画すべきだとの認識は全体的に希薄で中国紙の知人は「書くべきことは書くけど、恩恵にはあずかりたい」。

 福建省で先月起きた有毒汚水流出事故では企業が「口止め料」として記者に紅包を渡していた。一部中国紙はこれを批判し「ある記者は2000元の受領を拒否した」と書いたが、記者の“美談”がニュースになるとは。(朝田憲祐)

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