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ロサンゼルス 不法滞在新たな権利

2013年01月09日

 米国では、州によって若干の違いはあるが、銀行口座を開設するにも、図書館から本を借りるにも、生活の各場面で顔写真付きの身分証明書が必要だ。不法滞在者は顔写真付き証明書が得られず、口座開設などもできないことが多い。

 ところが、ロサンゼルスでは少し事情が違ってきた。不法滞在者のほか、これまで事情があって身分証明書を取得できなかったホームレス、高齢者らであっても、合法滞在の証明なしで顔写真付き証明書を取得でき、口座開設などが可能になるという市条例が成立したのだ。

 賛成派には幅広い論拠がある。「不法滞在者でも人間だ。基本的な人権がある」「通常の方法でお金が借りられないため、高利貸に利用されてはかわいそう」「口座がないと、多額の現金を持ち歩いたりタンス預金をしたりして、犯罪に狙われやすくなる」

 一方、反対派は「そもそも違法に滞在しているのが悪い。人権を認めるとそれに乗じてますます不法滞在者が増える」と主張した。

 長年の議論の末、ついに賛成派が勝利。ロサンゼルスの人口一千万余のうち移民は四百数十万人、さらにその約一割が不法滞在者といわれ、彼らにとっては朗報となった。賛否いずれの主張が正しかったのか、いずれ結論が出るだろう。

 (野口修司)

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