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北京 地下の活況光差さず

2013年09月02日

 北京のアパートから中国総局の事務所まで直線距離で150メートルほど。だが、最大70メートルの幅があるメーンストリート・長安街(八車線)には横断歩道がない。通勤は毎日、地下道を歩き遠回りする。

 この地下道にはさまざまな人がいる。プロ級の腕がある盲目の二胡(にこ)(弦楽器)奏者の男性2人、ギターで熱唱する盲目の男性、空の茶わんを差し出す高齢者たち。その日の食べ物を手にするため、みんなが必死だ。

 地下道は音が響く。楽器を持つ人は他人の演奏の邪魔をしないよう暗黙の“時差”をつくっている。各自の前に置かれた空き缶に目を落とすと、1元(約16円)札すらなく、コイン数枚の時も。

 それでも、地下道に集う人々はたくましい。二胡を10時間近く演奏し続ける男性、カラオケセットを持ち込んで堂々と歌う若い女性にも時々出会う。

 2000万の人口を抱える首都。地上に出ればおしゃれな女性、スーツで決めた男性、キャリアウーマンが行き交う。この光景を見ると、都市と農村の経済格差とは全く異なる都市住民の格差を感じる。

 長安街には中央分離帯がない。取り外し可能な鉄柵があるだけだ。有事に戦闘機が離着陸できる構造とされる。国防費の増強を続ける共産党の指導者たちが、たまに地下道を歩いてくれれば・・・。 (白石徹)

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