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北京 何を恐れここまで…

2020年01月24日

 中国建国70周年を翌日に控えた9月30日、早めに出勤すると、職場の玄関前に犬がいた。迷彩服姿の目つき鋭い男たちも一緒のせいか、かわいいという感情がわかない。爆発物探知犬だろうか。軍事パレードを前に街中で見かけたが、職場にまで来るとは思わなかった。

 職場は報道機関が集まるマンション群の中にある。パレードが行われた天安門広場まで続く目抜き通り・長安街に面しており、公安当局からパレード当日の注意を言い渡された。「窓は開けるな、近寄るな」「ベランダに出るな」「来客厳禁」…。

 パレード当日は長安街が封鎖されて職場にたどり着けない事態を恐れ、前日から職場に泊まることにした。すると、警察官が玄関前で夜通し警戒するという。ドアを閉めるのも禁止だ。寝る前に本当にいるのか気になって廊下に出ると、居眠りせずに立っている若い警察官と目が合った。なにやら寝付きが悪くなり、疑ったことを後悔した。

 パレードの最中も別の警察官が廊下に控え、テレビから国歌が流れると姿勢を正していた。個人的には祝賀ムードについて行けなかったが、警察官も大変だと同情した。 (中沢穣)