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デトロイト 小さくて安全な場所

2013年09月30日

 タティアナ・ハートさん(15)は、米デトロイトの下町に住む女子高生。市民団体が運営するパン屋さんでアルバイトを始めて、数カ月になる。

 店には、刑務所から出てきた人や、昔は薬物中毒だった人がいる。こうした人たちの社会復帰に向けた職業訓練の場所だ。明るくておしゃべりな人たちばかりで、内気なタティアナさんにも居心地がいい。

 この辺りでは、黒人と白人が話をすることはあまりなかった。同じ道ですれ違っても口を利かない。けれども、タティアナさんも含めて黒人ばかりの店に、白人のボランティアがたくさん手伝いに来る。住む場所は同じではないけれど、お互いのことを知り、理解し合い、仲良くなった。

 経済破綻したデトロイトは、荒廃している。タティアナさんが心を痛めるのは、ドラッグをやっている高校生のいとこのこと。売人たちは、10代の子供にまで薬を売らせている。「警察はやるべきことを全然していない」と思う。

 街がこれからどうなっていくのか、分からない。そんなすぐには変わらないと思う。外から知らない人たちが大勢入ってくるのも、不安だ。この店はみんな家族みたいで、本当に安全。これからも、小さくて安全なコミュニティーの中で暮らしていきたい、と願っている。 (吉枝道生)

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