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パレスチナ自治区ガザ地区 飛び出す夢いつかは 

2014年10月01日

 「攻撃は続いているけど、私たちはまだ、生きてます」。停戦前、パレスチナ自治区ガザ地区に住む女性ジハードさん(26)から電子メールが届いた。建物は破壊され、電気も水も不足している。上空からイスラエル軍に空爆され、死の恐怖におびえるのが、ガザの日常だった。

 イスラエルに封鎖され、エジプトも境界を開放しない。ガザはある意味、監獄と同じだ。責任があるのはイスラエルなのか、ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスなのか。誰に責任があろうとも、住民が苦しんでいることは間違いない。

 「世界中、自由にどこへでも行ける君に、私たちの生活が想像できるのか。ガザから出る自由もないんだ」。ガザで病院の取材をした時に、そう訴えたアルサファリ医師の言葉が忘れられない。

 ジハードさんはガザで会った際「いつか日本に行きたい。すごく発展した国なんでしょ? 私の夢の一つなの」と笑顔で語った。夢の実現が容易でないことを、ジハードさん自身も知っている。翌日にガザを離れる予定が頭に浮かんだ。彼女の顔をまともに見られなかった。(中村禎一郎)