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香港 多様性許す自由こそ

2014年11月28日

 行政長官選挙の民主化を求める学生運動で揺れる香港。悲壮な顔つきの学生闘士に占拠された緊迫した街を想像されるだろうが、そうばかりではない。

 警察がデモ隊に催涙弾を発射したのに激高し、数万人が香港政府周辺を占拠した国慶節の休日。金融街のセントラル(中環)でのこと。

 閉店中の高級ブランド店の前で、出稼ぎのフィリピン人家政婦の女性たちが、弁当持参でペチャクチャ。「これが最高の息抜き」と実に楽しそう。安価の雑貨を売る店も観光客や香港庶民でごった返していた。路地に歩を進めると、国慶節を祝う獅子舞に歌謡ショー。

 デモ隊の学生も、炎天下でおでこに冷却シートを貼って専門書とにらめっこ。占拠した路上でのマージャンは批判を浴びたが、融通無碍(むげ)。

 北京の様子はとテレビを見ると、手に手に国旗を打ち振り国慶節を祝う天安門の群衆と、お偉いさまの演説続き。人民日報は「占拠は違法」といかめしい。香港から眺めると、祝賀ムードと占拠反対の一色に染まった大陸。「多様性を重んじる自由」こそ、香港人の守りたいものなんだろうな。 (加藤直人)