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パリ 凱旋門に叫んだ願い

2016年02月22日

 2015年が終わろうとしていた。大晦日(おおみそか)の午後11時40分、支局からシャンゼリゼ通りに繰り出した。フランスにとって歴史と記憶に刻まれる年になっただろう。私の人生にとっても、だ。

 昨年、1月のテロで幕を開けた。社会に深い傷をもたらした事件だったが、11月に再びテロが発生。130人の命が失われた。記者になって17年。事件担当の期間も長く「場数」を踏んできたつもりでいたが、2つのテロ事件は自分の経験と想像力をはるかに超えていた。

 戦時のような武器の銃弾が「日常」に向けられ、多くの人の命があまりにも簡単に奪われた。記事をいくら書いても目の前の現実と危機を伝え切れないのではとの無力感があった。

 そんなことをぼんやりと考えながら、シャンゼリゼを凱旋門に向かって歩いた。至る所に立つ武装警官が行く年を象徴していた。凱旋門に恒例の映像が映し出されカウントダウンが始まった。「トロア、ドゥ、アン(3、2、1)、ヌーベラネ!(新年)」。「今年は絶対いい年になるわ」。隣にいた黒人の女性が声高く叫んだ言葉に胸が詰まった。 (渡辺泰之)

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