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バンコク 花咲いた 国王の理想

2017年01月12日

 タイ国民の敬愛を集めたプミポン国王が亡くなって1カ月半余り。「お父さん」に別れを告げようと、遺体が安置される首都バンコクの王宮には連日、全国各地から弔問の人が訪れ、長い行列ができている。驚かされるのは、周辺で活動するボランティアの多さだ。

 「貧しい人たちも遠くからやってくる。ここでお金を使わせてはならない」と話したのはヤーニーさん(51)。慈善団体の仲間と炊き出しに参加し、食事や飲料水をふるまっていた。

 日中は30度を超す猛暑が続く。弔問の人波には高齢の人も多いため、ボランティアの医師や看護師が待機している。

 王宮まで無料のバスが走り、近くの広場には散髪やマッサージ、Wi-Fi(ワイファイ)のコーナーもできていた。

 「私たちができることは何だろう」とシャルワンさん(23)ら女子学生グループは考え、ポリ袋を持って広場に集合。列に並んでいる人たちが処理に困っていたごみを回収していた。

 国王は生前、命の大切さを国民に説き、貧困対策に情熱を注いだ。国王の目指した社会の姿が王宮前に広がっていた。 (山上隆之)