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北京 ご用心偽札すり替え

2017年01月13日

 受け取った瞬間に「これは偽札だ」と直感した。知り合いの送別会を兼ねた会合に向かう途中、通り掛かった三輪タクシーに飛び乗って目的地に到着したまでは良かった。だが、ここですっかりだまされた。

 料金の支払いで100元(約1500円)札を差し出すと、釣り銭がない様子の運転手は渋い表情で「もっと細かい札はないか」。財布を取り出す間に今度は「あんたが出した100元札は一部が破れている。別のものと交換を」と言って突き返してきた。

 しかし、戻された100元札は最初に自分が支払ったものとは明らかに異なっていた。色がやや薄く手触りもざらついている。「偽札じゃないか」と訴えると「払ったのはあんただろ」と激しい言い合いになった。

 結局、先を急いでいたこともあってこっちが泣き寝入りする羽目に。後日、知り合いに話すと「本物と偽物をすり替える古典的な手法だ」と説明された。

 さて、これから偽札対策をどうすればいいのか。タクシーに乗る時、必ず小銭を用意するのは手間だ。すり替えを警戒しながら100元札を使うのも気が引ける。自分の中の結論はまだ出そうにない。 (秦淳哉)