2017年05月30日
米国のベストセラー本「世界と僕のあいだに(邦題)」で、著者のタナハシ・コーツさんは自分の息子に、6歳の時に父親からベルトでたたかれたことを伝えている。
近所の公園で、両親の見えないところで数分間、遊んだ後のことだった。「おれがたたかなきゃ、警察にたたかれることになるんだぞ」。父親はコーツさんに、黒人にとって警察は守ってくれる存在ではなく、恐怖の対象だと教えたという。
米南部ノースカロライナ州シャーロットで取材したパトリック・ジョーンズさんも、「黒人なら、みんな同じような経験を持っている」と話していた。
「警察に目を付けられてはいけない。決して反抗するな。黒人だというだけで、痛めつけられて死ぬこともあるから」。長男にそう教えてきた。改善を求める前に、生き抜くすべを覚えなければならないからだ。
だが、長男は警察への抗議デモに参加し、知り合った警察官と黒人住民との対話イベントを企画した。「それで解決できるほど甘くはない」とジョーンズさんは思いつつ、長男が切り開くかもしれない未来に期待も抱いている。 (北島忠輔)