【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中国
  5. 北京 突然の終了にため息

北京 突然の終了にため息

2017年06月15日

 「今月末で閉店します」。気軽に利用していた支局近くのハンバーガー店が突然、営業中止を宣言した。店の入り口に張られた告知を見て驚くとともに、「またか」とため息が出た。

 これまでも北京で突然の閉店を何度も経験してきた。おいしいパンを提供してくれた店やコーヒーショップが知らないうちに姿を消していた。イタリア料理店がいつの間にか火鍋の店に模様替えしたこともあった。

 賃貸料金値上げで黒字が難しくなったのだろうか。いずれのケースも客に事前説明はなく、勝手に想像するしかない。客は店の前まで来て初めて営業していないことに気付く。この喪失感がどれほどのものか理解できないのだろうかと、腹が立つ。

 気を取り直して近くのスーパーに行くと、これまで大量にあった日本メーカーの歯磨き粉がなくなっていた。売り切れたのか、それとも撤去したのか。店員に聞いても判然としない。まとめ買いしておけばよかったと後悔したが後の祭り。

 すべては店の都合が優先。中国でも「消費者ファースト」の定着する日が来るのだろうか。まだ、まだ遠い将来のような気がしてならない。 (秦淳哉)