【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中国
  5. 上海 お上対策とばっちり

上海 お上対策とばっちり

2015年03月02日

 中国では「上に政策あれば下に対策あり」と言う。お上の朝令暮改を皮肉り、対抗方法をひねり出す庶民のしたたかさを表現した言葉だ。

 1月末、上海の日本人学校で持ち上がった「通学バスの使用禁止」にはうまい「対策」がなく、子どもを抱える在留邦人から悲鳴が上がる。

 家が近い保護者同士がお金を出しあい、学校が認める民間バスを手配して通学に利用してきた。だが、市当局が突然「規定に合わない」と通告してきたのだ。

 渋滞の上海で小学3年のわが娘も毎朝1時間半かけバス通学。今後はマイカーやタクシーなどで保護者送迎の登下校。保護者の負担は重い。

 管理強化の理由は「事故防止」。学校は市の指導に従い、新学期の4月からスクールバスへの一元化を準備していた。そこに突然の通知。

 しかも、金曜に通知し「月曜から実施」と性急だ。ある上海っ子はこうみる。「これは市当局の中央に対する対策だな」

 上海市は36人が犠牲の転倒事故で批判を浴びた。最近の重要会議で市幹部は「教訓に学ぶ」と「公共安全」に大号令。なるほどね…。 (加藤直人)