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【滋賀】湖北の養蚕に思いはせて 浅井歴史民俗資料館で史料展示

ジャンル・エリア : 文化 | 歴史 | 近畿  2018年02月16日

養蚕の豊穣を祈って江戸時代に奉納された「糸取図絵馬」=長浜市の浅井歴史民俗資料館で

養蚕の豊穣を祈って江戸時代に奉納された「糸取図絵馬」=長浜市の浅井歴史民俗資料館で

 長浜市の浅井歴史民俗資料館で、企画展「湖北の養蚕-糸と暮らし」が開かれている。明治期まで養蚕が盛んだった旧東浅井郡など湖北地域の歴史民俗を12点の史料で紹介している。3月25日まで。

 養蚕の豊穣(ほうじょう)への人々の願いが読み取れるのが「木造馬鳴菩薩(めみょうぼさつ)像」と「糸取(いととり)図絵馬」。

 高さ6センチの菩薩像は江戸時代の作とされ、反物や糸車を手にしている。同市湖北町の小谷寺が所蔵し、「養蚕の神」として信仰を集めたとみられる。

 絵馬は繭を煮たり、糸を巻き取ったりする糸取りの工程が鮮やかに描かれ、江戸時代、同市高月町の売比多(めひた)神社に奉納された。

 1896(明治29)年に開学した簡易蚕業学校(現・長浜農業高校)の史料も展示。当時の教科書や写真のほか、卒業生が1914(大正3)年に御養蚕所(東京)の世話役を務めた際、皇后陛下から与えられた繭も並ぶ。

 資料館によると、湖北の養蚕は農家の副業として発展した。全世帯の7~9割が従事していたという記録もあり、浜ちりめんやビロードなどの地場産品を生んだ。化学繊維の台頭などを機に衰退したが、今もわずかに蚕業は残る。

 担当者は「失われつつある養蚕の記憶に触れてほしい」と来場を呼び掛けている。

 高校生以上300円、小中学生150円。月曜と祝日の翌日は休館。今月24日午後1時半からは浅井図書館で関連講座があり、県立大人間文化学部の森下あおい教授が湖北の織物について語る。受講料は500円。(問)浅井歴史民俗資料館=0749(74)0101

 (渡辺大地)