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ウィーン 注目舞台で熱演期待

2009年10月02日

 「核の番人」とも呼ばれる国際原子力機関(IAEA)のリーダー選びは「第3の候補」まで登場してもつれた。

 これを聞きウィーンが名画「第3の男」の舞台だったことを思い出した。ロケ地やゆかりの場所をめぐるガイドツアーは人気の観光コースだ。有名シーンに登場するのが大観覧車。1897年の開業以来、第2次大戦では30台のゴンドラが全焼したが、歴史と文化の街を一望できる名所として親しまれてきた。

 映画の時代背景は、この都市が戦勝国の管理下にあった戦後の混乱期。60年後の現在、ゴンドラから見える世界は変わったが、平和な社会を皮肉った名優のセリフの重みは変わらない。ここに本部を置く「核の番人」が、世界平和の実現に向けて「第3」と言わず、崇高な理念の実現に力を発揮してほしい。そんな物思いにふけっていると、観覧車は15分で一周した。 (弓削雅人)