2010年10月19日
ソウルに前回駐在していた7年前と比べると、コーヒーの有名チェーン店が飛躍的に増えた。昼食を終えたビジネスマンが若い世代を中心に、テークアウトしたコーヒーを手に同僚と談笑する姿が目立つ。
以前はコーヒーといえば、インスタントが主流だった。茶房(タバン)と呼ばれる当地の薄暗い照明の喫茶店でコーヒーを注文すると、必ずインスタントが出た。自家焙煎(ばいせん)の本格的なコーヒーが普及するのにつれて、こうした茶房の数はぐっと減った。
ところが、40代以上の知人と「コーヒーを飲みに行こう」と誘い合うと、今でも茶房に足を向けることが多い。そして数少なくなった茶房はいつも、年配の男性客でにぎわっている。
「チェーン店は雰囲気がなく、落ち着かない」と“茶房派”。インスタントのコーヒーをすすりながら、額を合わせて語り合う。それが、韓国の伝統的なコーヒーの飲み方らしい。
(城内康伸)