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ソウル コーヒーの苦い教訓

2019年08月04日

 韓国人の友人が昨年オープンさせたばかりのカフェを閉めた。接客とは全く縁のない仕事から突然、カフェ店主になって10カ月。「半径500メートル以内にカフェが10軒」という環境の中、赤字が続いていたようだ。

 韓国人はコーヒーが大好き。ソウル市の中心部にある支局から歩いて3分以内には、米国発の某有名コーヒーチェーン店だけで4軒もあるほどカフェが多い。だが昼下がりには座れないことも多く、待てない人はコーヒーを片手に職場に戻る。

 韓国にカフェ文化が定着したのは2000年に入ってコーヒーチェーン店が増えてから。コーヒーの市場規模はインスタントも含め、この10年間で3倍ほど伸びた。写真映えするおしゃれなカフェからコンビニより安い1杯900ウォン(約90円)のコーヒーを売るスタンド形式まで、店の種類も多様化している。店舗数はコンビニの2倍。少ない資金で始められるため次々と開店する一方、廃業も多い。

 「元の仕事に戻る」。夕食後に入ったカフェでコーヒーを飲みながら、さばさばとした表情で言った友人も、「準備不足だった」という自覚があったようだ。 (境田未緒)