2011年09月16日
「どうしてダメなのよ!」。北京であった子ども向けイベントの入場口。中国人の子連れの母親が、手荷物検査でペットボトルの持ち込みを断られ、検査員にかみついた。
「安全のための決まり。ダメなものはダメです」と検査員。脇には、取り上げたとみられる飲みかけの水が入ったペットボトルが無造作に並んでいた。
母親いわく、水が惜しいわけではないらしく、「この子がもよおしたら、『簡易トイレ』として使うのよ」。
中国では、所構わず子どもに用を足させる光景に出くわす。道端はましな方。階段の踊り場やごみ箱、洗面所の流し…。高級デパートのブランド店の前で、というのも目撃した。股部分が縫われておらず、しゃがむと開く「股割れズボン」をはかせていることも、野放図さを助長しているように思える。
ペットボトルの携帯用トイレとしての再利用は、よく解釈すれば、エチケット、と言えなくはない。
「おしっこ出そう」。3歳の息子が下町の理髪店で散髪中、急に訴えた。店内にトイレはなく、公衆トイレも路地の先の先という。「じゃあ、こっち」と若い女性従業員が息子の手を引いた。連れて行った先は、従業員休憩室。ドアの隙間からのぞくと、彼女はペットボトルの水を飲み干し、そして-。
(朝田憲祐)