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北京 コロナ禍での奮闘…

2022年12月27日

 北京に本社のあるネット通販大手の京東が物流拠点を公開した。倉庫の自動化が進み、ドローンを使った配送などを研究していることにも驚かされた。

 同社研究開発部門の所長は報道陣に「上海の都市封鎖中はラストワンマイルの配送が課題だった」と振り返った。ロックダウン中、新型コロナウイルスの感染対策のために、団地の出入り口が封鎖され、住民の外出を禁じた。団地内で行動できるのはボランティアに限られ、外からの荷物が満足に届かない状況だった。

 所長は「従業員が自ら団地内に入ってボランティアをやることで、荷物を届けることができた」と力を込め、「サプライチェーンの未来に自信を持っている」と語った。

 内心がっかりした。団地に入ればいつ外に出られるか分からず、「根性で荷物を届けた」と言っているに等しい。ネットには「自殺式支援」と従業員の悲惨さを伝える記事もある。

 団結してコロナと闘ったことを伝えようとする美談ではあるが、展示室に置いてあった、あの配達用ドローンを使ったほうが良かったのでは、という気がしてならない。 (白山泉)