2014年08月22日
「遅くなってすみません」とずぶぬれで姿を見せたのは、上海市のある幹部2人。雨の夜の懇談取材に、30分ほど遅れて到着した。聞けば、タクシーがまったくつかまらず路線バスでやってきたという。
上海戸籍のない人も合わせれば2400万人が住む大都会。タクシーは5万台にすぎないから、週末や雨の日の“タクシー争奪戦”はすさまじい。スマートフォンを使ったアプリでのチップ上乗せ制も流しのタクシーを拾うことを難しくしている。
この国では、何かと融通が利かせられるはずのお役人でもタクシーを呼べぬとは驚いた。中央の「倹約令」もあり、勤務外の公用車利用もままならぬか。
取材を終える前に店にタクシーを頼んでおいたが、来る気配もない。お偉いさんと3人で傘を差し、交差点で手を上げまくった。40分ほどでようやく空車をつかまえ、私と帰宅方向の違う2人は相乗りで…。
“役人天国”から清廉公正を守り伝える「清白伝家」への変化は庶民も歓迎だろう。お役人が身に染みて感じたはずのタクシー不足への対策も、しっかりお願いしたいな。 (加藤直人)