2015年07月23日
ある休日の午後、ベルリンを取り囲む環状鉄道に乗って1周してみた。駅の数は27で東京の山手線(29駅)とあまり変わらない。
のんびりした雰囲気の車内。乳母車の家族連れ、自転車ごと乗り込んでくる青年、新聞売りのホームレス、小銭目当ての楽団。いろんな人たちが乗っては降りていく。ドイツ語だけでなく、英語やロシア語も聞こえる。顔立ちも中東系やアジア系、アフリカ系とさまざまだ。
車窓からは絶えず木々や芝生の緑が見える。人口330万の大都市に、これほど緑が多いことにあらためて驚く。
市内は6階建てほどの集合住宅ばかりだから、かなり遠くまで見通せる。旧東独が建てたテレビ塔が常に見え隠れしていた。後から地図で確かめると、1周する間に2回、ベルリンの壁の跡を越えたはずだが、街の雰囲気からは気づかなかった。
1時間余りで小さな旅を終えたころには、電車の揺れで酔ったのか、胃の辺りがむかむかした。ホームで深呼吸していると、出発の時に近くの公園から聞こえた野外ライブのトルコ音楽がまだ続いていた。 (宮本隆彦)