2016年09月27日
自転車に乗る習慣があまりなかった韓国でここ数年「サイクリングブーム」が起きている。自宅に近い漢江(ハンガン)の河畔の自転車専用道では、休日になると流線形のヘルメットとサイクリングウエアに身を包んだおびただしい数の自転車愛好家が、列をなして疾走する光景が広がる。
李明博(イミョンバク)政権時代から韓国政府が、健康増進や交通渋滞の解消にと、自転車の積極的な活用を推進。四大河川に沿って専用道を設けるなど、環境を整えてきた。列車内にも自転車を持ち込めるスペースが設けられ、駅のホームなど至る所で自転車を引く愛好家の姿を目にする。
ただ、方向性はもっぱらレジャーやスポーツ。日本に多い前かごが付いた「ママチャリ」は街でほとんど見かけない。スーパーや駅前にも駐輪場が少なく、日本のように「生活道具」として使う意識は薄い。
日本の「ママチャリ文化」に浸ってきたわが家では、自転車はもっぱら買い物の道具。周囲から浮いて見えるけれど「こんなに便利な運搬手段はない」という信念を貫き、割引商品を求めてちょっと離れた大型スーパーまで、妻がせっせとペダルをこいでいる。
(島崎諭生)