名古屋では、
1月に17.8℃、2月で19.7℃を記録する日もあり、
暖かい日が多いこの冬。
たまに気温が下がることもあったりして、
花たちも戸惑っているようです。
ソメイヨシノよりも一足早く咲き、
開花期も長いカワヅザクラなら、
平年より多少寒暖の変動があっても、
花を楽しめるのではと思い、
一宮市にある萬葉公園を訪ねました。
↑萬葉公園入り口の案内図。
真ん中辺りのピンクに塗られたところが
カワヅザクラがかたまって植えられている場所のようです。
↑カワヅザクラの説明が書かれた立て札の向こうに、
ピンクに色づいた桜並木が見えます。
↑思った通り、結構咲いています。
↑この木は七分咲きぐらいかな。
↑ソメイヨシノよりもピンクが濃く、
花びらも少し大きいので、
存在感がありますね。
↑全てがというわけではありませんが、
花と葉が一緒に出ている株もありました。
カワヅザクラは、
オオシマザクラ系とカンヒザクラ系の自然交配種と推定されており、
1955年ごろに静岡県の河津町(伊豆半島南東部)で発見されたそうです。
(オオシマザクラは、比較的花が大きくて開花後間もなく葉が出る種類。
カンヒザクラは、濃いピンクの花で早咲きの種類。)
1975年に河津町の「町の木」に制定されてからは、
町内で積極的に植栽され、
日本各地や外国へも寄贈されるなど、
「開花期が早く観賞価値の高い」サクラとして
知名度を上げています。
↑風もないのに枝が揺れるので何事かと思えば、
メジロが蜜を吸いに飛び回っていました。
↑マツやスギの木立の合間から見ると、
少し濃いめのピンク色が引き立ちます。
↑園内の散策路にも
ぽつん、ぽつんと、植えられているカワヅザクラ。
ピンクの花がその存在を教えてくれます。
↑園内北側には、ささやかながら梅園が。
立て札には、『万葉集』に収められている大伴旅人の句
「我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも」
が記されています。
↑白色、紅色、ピンク色。
つぼみの木も何本かありましたが、
ほとんどの木は見ごろを迎えていました。
その昔、
一宮市萩原町周辺がハギの名所だったことから
『万葉集』に最も多く詠われているハギの花にちなんで
その名が付けられたという萬葉公園。
ウメは、
ハギに次いで2番目に多く詠まれた植物です。
園内には、
さまざまな植物を詠った45基の歌詞板と6基の歌碑が点在し、
『万葉集』の世界に浸ることができます。
↑園内南側にある自然園の近くには、
ツバキとコラボレーションするカワヅザクラが。
↑両方とも、まさに花盛り。
とってもきれいで、見とれてしまいました。
↑スイセンとコラボレーションするカワヅザクラも。
春らしくて、いい雰囲気です。
萬葉公園を堪能した後は、
東へ500メートルほど離れた同公園の高松分園へ。
↑こちらでも、数本のカワヅザクラが咲いていました。
一見すると五~六分咲きかなという感じですが、
近づいてみると…。
↑もうほぼ満開の枝も。
同じ木でも、日当りが関係するのか、
枝によって咲き具合が違っていて、面白かったです。
この高松分園は、
『万葉集』所収のハギの歌に出てくる
「高松」という地ではないかという説がある場所で、
いくつかの石碑が建っています。
現在は花しょうぶ園として整備されているため、
冬は訪れる人もあまりありませんが、
初夏には多くの人が訪れるそうです。
古人が歌に託して植物に寄せた心情を思いながら、
つらつらと歩くのも楽しいものです。
敷地内や隣接地に神社があったりして、
いろいろな発見のある興味深い公園でした。
取材日:2020年2月22日
萬葉公園
愛知県一宮市萩原町築込~戸苅/高松分園は萩原町高松
TEL:0586-28-8634(一宮市公園緑地課)
※入園自由(無料)
交通アクセス
○公共交通機関
名鉄尾西線「萩原駅」から南西へ徒歩約15分。
○車
東海北陸自動車道・「一宮西IC」から南西へ約6km。
※無料駐車場有り。
- まころーど
- 名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。