2010年06月25日
韓国最大財閥サムスン・グループの李健熙(イゴンヒ)前会長(68)が先月、サムスン電子会長として約2年ぶりに経営の一線に復帰した。決断の理由のひとつはトヨタ自動車のリコール問題だった。
「世界の一流企業が倒れている。サムスンもいつどうなるか分からない」。復帰当日、会長就任の辞がサムスン社内ネットワークに掲示された。スマートフォンで出遅れていること、米国でトヨタの評判が瞬く間に崩れていく姿に、危機感を募らせた結果だという。サムスンは過去最高の売り上げを記録したばかり。会長の言葉におやっと思った。
他企業にもトヨタの「失敗」は人ごとでない。現代自動車は米でシェア拡大の好機と喜ぶよりも、かえって緊張感が強まったと知人は話す。
会長は「10年以内に今のサムスンを代表する製品は大部分が消えるだろう」と見通す。10年先を見る力とは何だろう。企業経営は難しい。 (築山英司)