2011年07月03日
ある日曜日。ニューヨーク郊外の一軒家を訪ねた。着任から3週間。まだ家を探している。
1階の台所を見ていたら、玄関のチャイムが。スペイン語を話す家族が入ってきた。物件を見にきたらしい。
見終わって、外に出たら車が1台到着した。「また来ましたね」と不動産屋。下見の人が続々とやってくる。
「この家、なかなかいいですね」と不動産屋に伝えると、その場で大家に電話してくれた。
「今、他の人に決まってしまったそうです」。「えー、残念!」…こんなことを、何度も繰り返している。
地元の不動産屋によると、リーマン・ショック後、停滞していた米国都市部の不動産市場が活気づいてきたらしい。ニューヨーク周辺では空き室率も低下し家賃も上昇。まさに貸し手市場だ。ブルックリンに住む支局の助手も「治安が良くないあんな場所も…というとこまで、どんどん家賃が上がっているよ」と教えてくれた。
今日も不動産屋から電話が来た。
「大家が家賃をつり上げてきました。ここはいったん引いた方がいいかもしれません」。初めての経験にもっぱら押されてばかりだが、この国では家を借りるのにも、相当駆け引きが必要なようだ。(長田弘己)