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ワシントン 家賃20%アップで…

2023年02月09日

 ある日、ワシントン市内のマンションで、引っ越し作業をしている顔見知りの男性に出くわした。「暑いのに大変ですね」と声を掛けると、「本当は引っ越しなんてしたくないんだけど」という答えが返ってきた。聞けば家賃が20%も上がり、とても住めなくなったという。

 米国では、家賃は物価などに応じて1年ごとに更新され、住んでいても急に家賃が上がることがある。激しいインフレにさいなまれている米国では、家賃も急騰。さらに、大学の卒業や入学のシーズンは動きが激しくなり、入居希望者が増えてさらに高騰する。

 男性は管理会社に泣きついたものの、「人工知能(AI)で自動的に決まるので、下げることはできない」と言い渡されたという。「仕方ないから、もっと安い物件に引っ越さなければいけなくなった」。インフレと言えば、思い浮かぶのはガソリンや食品の価格だが、家賃の高騰による「難民」も全米で問題になっている。

 そういえば、私が住むマンションでも、家賃の高騰で引っ越していった知人がいた。約半年後の家賃の更新が、恐ろしくなってきた。 (吉田通夫)