2011年11月16日
北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記から電報が送られてきたんだよ-。少し前、モスクワのカフェで1人、夕食を取っていると、ロシア人のおじさんが、そんな話を持ち掛けてきた。
電報を受け取ったのはおじさんの知人女性だという。シベリア東部のウランウデ在住。総書記が今夏、列車でやってきてメドベージェフ大統領と首脳会談をした街だ。話は、会談からしばらくたった日の出来事だった。
女性が経営する店が入るビルのオーナー一族が、所有権をめぐるいさかいでビルを突然、閉鎖してしまった。中に入れないから商品を引き取ることもできない。困惑したその女性がネットで調べた総書記の住所に「窮状をロシア大統領府に伝えて」と電報を打つと、間もなくロシア語で「同志に伝える」と返信されてきたという。
知らないロシア人になぜか最近よく話し掛けられるのだが、話が面白ければ多少?の脚色は可、という国民性の持ち主の言うこと。電報の話も本気にしないで聞いていた。ところが後日、インタファクス通信がその話を配信していたことが分かって驚いた。
おじさんが女性の知人だったかどうかは疑わしい。でも、返信したのは誰か、いまだに謎は解けていない。少なくとも、本人ではなかろうと思っているのだが…。(原誠司)