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ロンドン 熱が出そうな耳論争

2013年02月26日

 「熱が出た時は、お風呂に入りましょう」。そんな一節をロンドンの病院で見て「本当か」と読み返した。

 自身の経験では、日本で高熱が出れば、医師から「風呂には入らない方がいいですね」とくぎを刺される。だが「熱が出ると、寒く感じるので体を温める」と忠告を無視して入っていたので、病院の一節は「わが意を得たり」と思ったが、どうもそうではない。

 読み進めると、熱を下げるため、体温より低い温度の風呂に入ることを勧めていた。確かに理屈としては正しいように思えるが、ちょっとためらう。

 病院は別のことも指摘していた。「耳掃除はしないでください。耳あかは剥がれて自然に排出されます」。でも、すべてがそうなるわけではないことは経験上、断言できる。日本の病院も適度に耳掃除をすることは勧めるんだけど・・・。そんな反論を英国人の知人に話すと、「絶対に耳掃除なんてしてはいけない」といつになく強い調子である。

 そこで、支局のスイス人の助手に尋ねると、「信じられません。耳掃除はしなくちゃだめです」。もう1人の英国人の助手は「耳掃除はするなと親にしつけられました」と言いつつ、こう付け足した。「でも、しますよ。しないと気持ち悪いでしょ」。ちょっとだけ、話が分かりやすくなった。 (有賀信彦)