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英バーミンガム 拷問加担の後悔長く

2015年09月16日

 終戦記念日翌日の16日、英バーミンガム近郊の国立記念植物園を訪れた。正午すぎ、広大な敷地の一角で、第二次大戦中に日本軍による強制労働で亡くなった英兵捕虜らの追悼式典が始まった。

 大戦中に日本軍の捕虜となりタイやビルマ(現ミャンマー)で強制労働を強いられた英兵は約5万人。うち4分の1が病気などで命を失った。生き残った英兵も、ドイツなどの降伏で欧州に平和が訪れた後も抑留は続いた。終戦記念日は英国では「日本が降伏した日」ととらえられることが多く、そんな英兵捕虜たちの解放がようやく決まった日でもある。

 「日本の方ですね」。式典後、年配の女性から声を掛けられた。1970年、日本で英語教師を務めた際、通訳として日本軍にいた男性と出会ったという。男性は捕虜と軍幹部の意思疎通を図りつつ、一緒に拷問に加担した。「そのことをいつも後悔していました」。そのときの様子が頭から離れず、悪夢にさいなまれてもいたという。

 激しい憎悪に悔恨、いつまでも続く悪夢…。戦争が人々に残すのは苦しみばかりだ。 (岩佐和也)