2016年02月01日
土曜日の夕方、自宅近くの店に散髪に行った。その店に足を運ぶのは、北京に赴任して4度目。3、40代の店主と目つきの悪いパンクロッカーのような若い弟子2人が、10畳ほどの広さの店内に3つの椅子を並べて営業している。
扉を開けると、炒め物をした油のにおいが店内に充満していた。店主と若い2人が、店の中央でしゃがみ込んで輪になっていた。「髪の毛、切ってもらえる?」と声をかけると、3人がそろって顔を上げた。いずれも面倒くさそうな顔。「30分待ってくれ」。そろって食事中だったのだ。お客は後回し。日本ではお目にかかれない光景に圧倒され、「明日また来る」ときびすを返した。
翌朝に訪ねると、店主が「夕方6時ごろは避けてくれ」。思わず「それはどうも、すいません」と口をついて出た。
それでもこの店が好きだ。料金は25元(約500円)。おしゃれな美容室なら200~300元かかるところもある中、破格の安さだ。しかも3人とも腕がいい。仕上がりに満足し「ありがとう」と声をかけても返事もなかったが、「次回もこの店」と決めている。 (城内康伸)