2017年03月27日
あれほど多くの女性に囲まれたのは初めてだった。トランプ大統領が就任した翌日の朝。ワシントンで乗った地下鉄は新政権への抗議デモに参加する人でごった返していた。
年齢層、肌の色、ファッション、すべてが違い、エネルギーに満ちていた。「私の体は私のもの」「女性が毎日の生活を偉大にする」。手に持ったボードには、「スターなら女性に何でもできる」と言ったトランプ氏への反発の言葉が並んでいた。
男性客は1割にも満たない。私の心の内を察知したのか、目が合った女性が話し掛けてきた。「居心地悪いでしょ」。私が「落ち着きませんね」と答えると、女性は言った。
「それは男性の多い職場に勤める女性のほとんどが感じていることなのよ。あなた、貴重な経験をしているわね」
女性の服には、大統領選でトランプ氏が民主党候補のクリントン氏に向けて言った言葉を逆手にとって「『嫌な女』ですが、何か?」と書かれていた。
「敵」への攻撃で人気を集めてきたトランプ氏。大通りを埋め尽くした女性らは、今後直面する「敵」の手ごわさを示していた。 (北島忠輔)